「SDGs」カテゴリーアーカイブ

オムロンなど温暖化ガス2割削減 日経SDGs調査

日本経済新聞社は国内731社について、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」への取り組みを格付けする「SDGs経営調査」をまとめた。2019年度の温暖化ガス排出を前年度比で減らした企業は4割にのぼり、オムロンなど約20社で削減幅が2割に達した。新型コロナウイルス下でも7割が雇用を維持するなど社会貢献を重視する企業が増えている。

菅義偉首相は10月末、温暖化ガスの排出量を50年までに実質ゼロにする目標を掲げた。調査で自社で直接排出する温暖化ガスについて尋ねたところ、19年度の排出量を前年度より減らした企業は全体の42%で、約20社が2割以上の削減となった。

オムロンは19年度の二酸化炭素(CO2)排出量を前年度より22%減らした。滋賀、京都、三重、岡山の国内4事業所で太陽光発電設備を新設。再生可能エネルギーを使った生産活動に切り替えた。サッポロホールディングスも2割削減を達成し総合格付けを前回から1つ上げた。ビールの製造工程で発生する排熱を利用するためのヒートポンプ設備を導入した。

調査では20年度についても3社に1社が19年度より排出を減らすとの見通しを示すなど、気候変動への意識が高まっている。実現には部品や原材料の調達を含めた対応が欠かせないが、今回調査では前回より4ポイント多い45%が供給網全体での温暖化対策に目配りをしていると回答した。

総合格付けで2年連続トップに立ったリコーは供給網と一体となって30年までにCO2排出量を20%減らす目標を掲げる。取引額の大きいサプライヤー企業350社向けにCO2削減を促す説明会を設けている。

雇用もSDGsの重要テーマだ。今年は新型コロナの感染拡大でサービス業などは大規模な人員削減を余儀なくされている。調査ではコロナ下での雇用方針について、全体の69%が「非正規を含めて維持を最優先する」と答えた。新卒採用についても6割が「維持する」と回答した。

SDGsを経営に取り込んでいる企業ほど、危機下でも投資家の評価を得ている。新型コロナの感染拡大で株式相場が急落する前の2月21日時点から半年間の時価総額を調べると、総得点の偏差値65以上の上位グループ39社は下落率が平均29.3%にとどまった。60以上~65未満の下落率は32.4%、55以上~60未満は32.8%だった。

「SDGs経営調査」は毎年実施し、今回が2回目。事業を通じてSDGsに貢献し、企業価値向上につなげる取り組みをSDGs経営と定義。「SDGs戦略・経済価値」「環境価値」「社会価値」「ガバナンス」の4つの視点で評価した。国内の上場企業と従業員100人以上の非上場企業を対象に731社(うち上場企業685社)から回答を得た。

オセアニア勢など 海外大学が先行 日本勢 北大76位が最高

DGs(持続可能な開発目標)をめぐる取り組みは海外の大学が先行している。

英教育専門誌のタイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)がSDGsを基に大学の社会貢献を評価する「THE大学インパクトランキング2020」によると、首位のオークランド大学(ニュージーランド)をはじめ、上位は欧米やオセアニア勢が占めた。日本勢は北海道大学の76位が最高だった。

一方、ランキング調査(総合部門)に参加した766大学のうち、日本の大学は63大学と国・地域別では最も多かった。取り組みの深さでは海外勢に後れを取っているものの、関心や意欲は着実に高まっている。SDGsを一過性のブームに終わらせず、より多くの学生を巻き込む試みが求められる。

SDGs「自分の事」と意識 学生団体や大学
環境学ぶイベント開催 企業と組みマイボトル

金沢工業大学の学生がSDGsを学ぶカードゲームを制作し、小中高生にゲーム形式で教えている(2019年6月)

金沢工業大学の学生がSDGsを学ぶカードゲームを制作し、小中高生にゲーム形式で教えている(2019年6月)

国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)を推進する動きが全国の大学で広がっている。学生が中心となって気候変動や貧困などさまざまな課題の解決策を考え、日常生活で実践している。今後数十年、社会を支える学生にとって、SDGsは人任せにできないとの意識が強いようだ。

「きれいな地球を残すのは大事なことだと思いました」。金沢工業大学が8月に開催した子ども向けのオンラインSDGsサミットで、大賞を獲得した小学2年の女子児童は堂々と感想を述べた。大賞作品は段ボールでコンポストをつくり、生ごみを堆肥に再生する意欲作だ。

イベントの中心は学生団体「SDGs Global Youth Innovators(グローバル・ユース・イノベーターズ)」。SDGsの普及・実践が主な活動内容で、3月からは新型コロナウイルスの影響で休校の小中高生を対象にオンラインで学びを支援している。

旗振り役は大学院修士課程1年の島田高行さん(23)だ。経営戦略を研究する平本督太郎准教授のゼミでSDGsを学び「ボランティアではなくビジネスとして成立させたい」との思いから、大学3年だった2018年に団体を立ち上げた。SDGsを学ぶカードゲームやスマートフォンアプリを制作し、イベントも開催。19年は延べ約1250人の小中高生が参加したという。

関西学院大学はアウトドア用品メーカー、スノーピークと包括連携協定を6月に結んだ。連携の柱の一つに掲げたのがSDGsで、第1弾として学生と企業によるマイボトルの開発をスタート。約40人の学生が開発に参加しており、完成品は2021年度の新入生に配布する予定だ。

「キャンパス内でペットボトル年間消費量の3万本削減」を目標に掲げるが、それ以上に重要なのは環境に対する学生の意識向上だ。連携の担当者は「学生がSDGsを考えるきっかけとし、良いモノを長く使う意識が広がってほしい」と期待を寄せる。

実際に意識の変化も起き始めた。その一つがボトルデザインの決定だ。くびれのあるフラスコ型と円筒型の2種類から選ぶ際、当初は斬新なデザインの前者を支持する学生が多かった。議論を交わすなか「車のカップホルダーに入らない」「洗いにくく使いにくい」との問題点が浮上し、後者に決定した。

いち早く民間企業と組み、SDGsに取り組んできたのが千葉大学だ。京葉銀行との「ecoプロジェクト」を17年に開始。20年3月までに延べ400人以上の学生が関わり、住民や子供、企業向けのイベントなどを実施してきた。SDGsが掲げる17目標のうち、10項目で成果を上げたという。

その一つの「海の豊かさを守ろう」では環境保護に取り組むNPO法人と連携し、海草の生息環境が悪化していた無人島、沖ノ島の再生に挑戦。海草の種子を植える土づくりから取り組み、沖に植え付けた。企画した学生は「一度失われた自然は簡単には取り戻せないことが改めて感じられた」と振り返る。

新型コロナウイルスの影響で大規模なイベントが難しいため、20年度は環境啓発の動画やポスターを作製し、ローカル鉄道の広告や京葉銀の小型ビジョンで流す試みを検討中。地域の農家や農業加工品を紹介するリーフレットを学生が作成し、消費者に地産地消を促す企画も練っている。

SDGsのハブ大学として、18年に日本で初めて国連から認定された長岡技術科学大学。学生主体で国際会議を開催し、SDGsの達成に向けた研究成果を全国の大学や高専が発表する場を設けている。9月にはSDGsの普及・啓発を目的とした学生組織も立ち上がった。留学生を含む13人の学生が集まり、学内で取り組めるアイデアを考えるなど活動が広がっている。

(江口剛氏、前田悠太氏、貴田岡祐子氏)