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紙の通帳やめれば1000円 三菱UFJ銀行、先着10万人に

三菱UFJ銀行は24日から、紙の通帳をやめて、スマートフォンなどで閲覧できるデジタル通帳に切り替えた利用者に対し、1000円を提供する取り組みを始める。同行に普通口座を持つ先着10万人を対象とする。
紙の通帳には1口座あたり年200円の印紙税や、印刷代などの負担が銀行側に生じる。超低金利の厳しい収益環境が続くなか、少しでもデジタル化を前に進めてコスト削減を狙う。
銀行が利用者に現金を還元する形で業務効率化を促す取り組みは珍しい。三菱UFJ銀は新規の口座開設者の一部に対する紙の通帳発行を対象に、200〜1000円程度の手数料を徴収する検討も進めている。
どうしたら損しない? 銀行が手数料を相次ぎ引き上げ
2020年は銀行の手数料引き上げが相次ぐ。みずほ銀行は預金額に応じて手数料を優遇するプログラムを改定し、20年3月に振込手数料などを実質的に引き上げる。メガ銀行や地方銀行では稼働していない口座に手数料を課す検討も進む。スマホ決済のLINEペイは銀行より安い手数料で振り込めるサービスを始めた。内容を見極めて金融サービスを使いたい。
みずほ銀は預金残高などに応じ、3段階のステージがある「みずほマイレージクラブ」を大幅に見直す。優遇が縮小し、実質的な負担増となる。
現状では残高が50万円以上だと真ん中のステージになり、振込手数料などで優遇を受けられる。今後は預金額に関係なく、デジタル通貨「Jコインペイ」の利用や積み立て型投資信託の購入で月1万円以上の引き落としがないと、現状のステージを維持できない。
提携先のATMで現金を引き出す場合はステージを問わず、20年3月からセブン銀行とローソン銀行を使うと手数料が生じる。ステージの判定は20年1月末時点の取引状況で確定する。みずほ銀とイオン銀行のATMを対象にした時間外手数料の優遇措置は続ける。
あわせてATMによる振込手数料を改定。キャッシュカードでみずほ銀の本支店間に振り込む場合、3万円未満なら110円の手数料が220円に、他行宛てだと220円から330円となる。「インターネットバンキングに切り替えようか」。改定の内容が明らかになると、ネット上には不満の声があふれた。
三菱UFJ銀行も振り込みや両替など、銀行窓口で受けるサービスの手数料を来年春にも引き上げる検討を進めている。他行宛てに3万円以上を振り込む際の手数料を880円から1000円程度とする方向だ。無料で発行してきた通帳の有料化も検討課題だという。
りそな銀行は海外送金の手数料を20年2月に引き上げる。窓口で送金を受け付ける場合、1件あたり6000円の手数料を7500円にする。三井住友銀行も今月から、3000〜4000円の手数料を7000〜8000円としたばかりだ。
銀行が手数料を上げるのは、長引く低金利で収益力が下がっていることが背景にある。マネーロンダリング(資金洗浄)対策の強化を受け、身元確認などへのシステム対応や人手にかかる経費がかさんでいる。たとえば海外送金では銀行窓口で書類の確認が厳重になっており、ある大手行では関連する人件費が1年で約4割上がったという。
ネットは据え置き
各行は一律で手数料を上げているわけではない。人手のかさむ銀行窓口で負担増を求める一方、ネットバンキングでは据え置く場合が多い。プログラムを見直すみずほ銀は「みずほダイレクト」を使えば本支店間の振込手数料が引き続き無料だ。家計コンサルタントの八ツ井慶子氏は「頻繁にATMや窓口を使う人はネットバンキングも検討してみては」と話す。
無料が当たり前だったサービスでも銀行は有料化を検討している。三菱UFJ銀は2年間取引がない口座に手数料をかける検討に入った。注意したいのは、すでに口座を開いている人には不利益変更となるため、徴収を当面見送る点だ。
検討を進めている案では、20年10月以降に開設された新規分を対象とし、年1200円(税抜き)の管理手数料を自動的に引き落とす。2年間取引がない口座が対象となるので、手数料の引き落としが始まるのは最短でも22年秋からになる。
りそな銀と埼玉りそな銀行は04年から、入出金などで2年稼働していない口座に1320円の手数料を課している。残高がなくなると自動で解約されるしくみだ。管理手数料を取る信用金庫も出始めており、大手行や地銀でも徴収への流れが強まる可能性がある。

地銀、不良債権処理費2倍 中小の経営悪化で

4〜9月、7割が減益・赤字
地方銀行の苦境が続いている。上場する78の地銀・グループの2019年4〜9月期連結決算について、18年に巨額の赤字だったスルガ銀行を除いてみると、不良債権の処理費用が前年同期の2倍以上になった。リーマン・ショック後に支援を続けた中小企業の経営難が響いた。7割にあたる56行が最終減益か赤字で、事業の改革を進める必要性が高まっている。
投資用不動産向け融資で不祥事があったスルガ銀は18年4〜9月期に巨額の赤字に陥った。78の地銀・グループは同行を除いた数字で19年4〜9月期を見ると、経営が厳しさを増していることが分かる。
19年4〜9月期の連結最終損益の合計額は前年同期比16%増の5515億円。スルガ銀を除くと5355億円で7%の減益だ。「全体として収益的に厳しい環境を反映している」。常陽銀行の笹島律夫頭取(全国地方銀行協会会長)は今回の決算についてこう語る。
収益を押し下げる要因となったのが「与信費用」の増加だ。融資先の業績悪化による将来の貸し倒れに備えて積む引当金や、不良債権として損失処理する費用などを含む。スルガ銀を除いたベースでみると、4〜9月期の与信費用は計1077億円で2.2倍に膨らんだ。
背景にはリーマン・ショック後にできた中小企業金融円滑化法に基づき、返済猶予などで支援した企業の経営難が顕在化してきたことがある。
西日本フィナンシャルホールディングスは前年同期は融資先の業績回復などで引当金からの「戻り益」があったが、4〜9月期は一転して32億円の与信費用を計上した。谷川浩道社長は「債務者に対して利払い猶予などの対応をしてきたが、思ったように進捗せず息切れしてきた」と語る。
帝国データバンクによると、同法にもとづき返済猶予を受けた後、再建できずに倒産した企業の件数は18年度は480件で3年連続で増加。19年4〜9月の累計でも255件と前年度を上回るペースで倒産が相次いでいる。担当者は「後継者などが確保できずに事業継続を断念するケースが出ている」と指摘する。
本業で稼ぐ力は低迷したままだ。貸し出しで稼いだ資金利益は1兆7366億円で4%減った。日銀によると地銀の新規の長期貸出金利は8月時点で1%を下回る。顧客の獲得競争は激しく、「貸出金利が下げ止まらない」(三重銀行の渡辺三憲頭取)。
債券や株式など有価証券の運用は持ち直し、4〜9月期の含み益は3月末より8%増えた。米金利の低下(債券価格は上昇)で米国債の含み益が出たとみられる。
78行は今回の決算から、自ら保有する投資信託の解約益を除いた利益を開示した。約9割の地銀は解約益で本業の「コア業務純益」を補完していた。低金利の市場環境は国内外で長引いており、今後の運用による収益は細る可能性がある。
島根銀行、みちのく銀行、東日本銀行の3行は最終赤字。島根銀は9月、異業種であるSBIホールディングスから出資を受ける方針を発表。みちのく銀はライバルの青森銀行と包括業務提携に向けて検討を始めた。コンコルディア・フィナンシャルグループの東日本銀には、グループ中核の横浜銀行が新頭取を派遣し経営立て直しをめざす。
20年3月期の連結純利益は前期比0.3%減の8575億円の見込み。期初の増益予想から一転して、4期連続の減益となる見通しだ。