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災害対応経験ある自治体職員 台風19号で560人超派遣

10月12日に上陸した台風19号は各地に大きな被害をもたらした。災害対応業務に追われる被災地自治体を支えるため、全国から災害時の経験を持つ自治体職員が応援に駆けつけた。11月21日時点で長野や福島など4県の10市町に累計564人が派遣され、罹災(りさい)証明書の発行などをサポートした。過去の災害の経験を生かした自治体連携は定着してきた。
派遣されたのは、総務省に「災害マネジメント総括支援員」として登録された自治体職員だ。2016年4月の熊本地震をきっかけに導入された制度で、被災自治体で災害対応の指揮をとった経験を持つ課長級職員が対象。登録された職員は同省や同省消防庁で研修を受け、災害時の派遣に備える。18年7月の西日本豪雨で初めて派遣された。
19年は8月に佐賀県の豪雨で、9月には千葉県で大きな被害が出た台風15号でも支援員を派遣した。台風19号での派遣で、支援員の派遣は4例目となる。
台風19号では、10の府県・政令市の幹部職員を、福島、茨城、栃木、長野の各県に派遣した。総括支援員1人でなく、避難所運営や家屋の被害認定などの実務に通じた職員とチームを組み、支援先に入ったケースが多いという。
支援の内容は、被災自治体からの要請に基づいて決める。総務省によると、台風19号では廃棄物処理や罹災証明書の発行で協力を求める自治体が多かったという。「総括支援員に『自分たちの災害対応は妥当か』を客観的にチェックしてもらいたいという要望もある」(同省)
具体的な派遣事例では、新潟県は10月15日から、阿武隈川が氾濫した福島県と同県郡山市に対し、2人ずつ派遣した。派遣された職員は1週間程度で交代しながら、罹災証明書の交付や家屋被害の調査を中心に支援業務にあたっている。
徳島県は10月14日から栃木県佐野市に、2〜3人を1チームに延べ15人を送り込んだ。佐野市役所では、危機管理部署に集中していた災害対応を全庁体制に広げることを提案。応援物資やボランティアを含めて、外部からの応援の受け入れに専門的にあたる「受援班」の設置も促した。佐野市は徳島県の支援員の助言をもとに態勢を組み直した。
徳島県は04年の台風23号を契機に、防災体制の強化に取り組んできた。県内の市町村の災害支援だけでなく、県外の被災自治体を応援する際の手順も研究・研修してきた。今回、栃木に第1陣で現地入りした県の防災担当者は台風19号でも「これまでの研修の成果を発揮できた」と説明する。
ただ、被災自治体が支援を求める業務は災害の規模や種類などで異なる。新潟県も今回の派遣で、家屋の被害認定の手法を巡り、派遣先との調整に時間を要したという。同県の担当者は「災害時に求められる業務の標準化を検討してもよいのでは」と感じている。
被災市町村への応援は統括的な業務を手掛ける総括支援員に加え、全国の自治体から派遣された「対口(カウンターパート)支援」による実務的な要員を合わせると9061人に及ぶ。
台風19号では、住民への避難呼び掛けや避難所の確保などで自治体の課題が指摘された。災害を経験した自治体の貴重な人材を有効活用するためにも、経験をさらに積み重ね、将来の自然災害でより効果的な応援につなげることが求められる。
(秋山文人氏)

ふるさと納税で支援 定着

大雨被災地 1カ月で5億円超、地域間で寄付額に差
台風19号やその後の記録的な大雨の被災地支援を目的に返礼品なしで募集しているふるさと納税の寄付金が、少なくとも5億7千万円に上ることが6日までに分かった。発生後わずか1カ月弱で集まった多額の支援。熊本地震や西日本豪雨でも活用され、被災地支援の手段として定着した形だ。ただ、被害が頻繁に報道されている地域に寄付が集中し、自治体間の差が広がっている。
ふるさと納税の仲介サイト「さとふる」の画面
寄付金は、一部の仲介サイトが被災地支援の一環として募集。返礼品がある一般的なふるさと納税と違って仲介手数料を取っておらず、自治体は全額を復旧に使える。
最大手の「ふるさとチョイス」と、ソフトバンクグループの「さとふる」の両サイトを介した寄付が、5日時点で計約5億7千万円。ほかの仲介サイトでも支援を募っており、寄付総額はさらに多い見込みだ。
両サイトは2018年の西日本豪雨で約18億円、2016年の熊本地震で約22億円を集めており、さとふるの担当者は「年末に向けて金額は積み上がるだろう」と予想する。
中心地が浸水した宮城県丸森町には約3300万円が寄せられた。被災前のふるさと納税の月平均は100万円弱で、担当者は「大変ありがたい。一日も早い復興に役立てたい」と話す。
千曲川の堤防決壊で甚大な被害が出た長野市は約5900万円。福島県いわき市は約1300万円、千葉市は台風15号被害への寄付も合わせて約1100万円だった。
一方、多数の住居が浸水した福島県須賀川市では200万円程度、2人が死亡した栃木県鹿沼市は約100万円にとどまる。鹿沼市の担当者は「甚大な被害が広く知られていない」と分析する。
神戸大の保田隆明准教授(金融論)は「自治体がSNS(交流サイト)などを活用して被災状況を発信することが重要だ。具体的な使途を明示することで、支援の輪が広がる可能性もある」と指摘する。
高校生「災害の教訓広める」 「世界津波の日」、国連で討論会
【ニューヨーク=共同】「世界津波の日」の5日、津波防災への意識向上を目指す討論会がニューヨークの国連本部で開かれた。世界の高校生が災害の脅威を学ぶため9月に札幌市で開いた高校生サミットの共同議長、札幌国際情報高2年の井戸静星さん(17)らが午後の討論会でサミットの成果を報告し「災害の教訓を世界に広めるのが私たちの責務だ」と語った。
午前の討論会では、被災地に残る言い伝えとインターネットの技術を防災にどう生かすかなどが議題になった。
サミットの共同議長、札幌日本大高1年の桐越航さん(16)は「防災関連の情報を北海道からSNS(交流サイト)を通じ世界の高校生に発信する。小さな一歩だが皆が同じことをすれば大きな動きになる」と強調した。