「持続可能な開発目標」カテゴリーアーカイブ

オセアニア勢など 海外大学が先行 日本勢 北大76位が最高

DGs(持続可能な開発目標)をめぐる取り組みは海外の大学が先行している。

英教育専門誌のタイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)がSDGsを基に大学の社会貢献を評価する「THE大学インパクトランキング2020」によると、首位のオークランド大学(ニュージーランド)をはじめ、上位は欧米やオセアニア勢が占めた。日本勢は北海道大学の76位が最高だった。

一方、ランキング調査(総合部門)に参加した766大学のうち、日本の大学は63大学と国・地域別では最も多かった。取り組みの深さでは海外勢に後れを取っているものの、関心や意欲は着実に高まっている。SDGsを一過性のブームに終わらせず、より多くの学生を巻き込む試みが求められる。

SDGs「自分の事」と意識 学生団体や大学
環境学ぶイベント開催 企業と組みマイボトル

金沢工業大学の学生がSDGsを学ぶカードゲームを制作し、小中高生にゲーム形式で教えている(2019年6月)

金沢工業大学の学生がSDGsを学ぶカードゲームを制作し、小中高生にゲーム形式で教えている(2019年6月)

国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)を推進する動きが全国の大学で広がっている。学生が中心となって気候変動や貧困などさまざまな課題の解決策を考え、日常生活で実践している。今後数十年、社会を支える学生にとって、SDGsは人任せにできないとの意識が強いようだ。

「きれいな地球を残すのは大事なことだと思いました」。金沢工業大学が8月に開催した子ども向けのオンラインSDGsサミットで、大賞を獲得した小学2年の女子児童は堂々と感想を述べた。大賞作品は段ボールでコンポストをつくり、生ごみを堆肥に再生する意欲作だ。

イベントの中心は学生団体「SDGs Global Youth Innovators(グローバル・ユース・イノベーターズ)」。SDGsの普及・実践が主な活動内容で、3月からは新型コロナウイルスの影響で休校の小中高生を対象にオンラインで学びを支援している。

旗振り役は大学院修士課程1年の島田高行さん(23)だ。経営戦略を研究する平本督太郎准教授のゼミでSDGsを学び「ボランティアではなくビジネスとして成立させたい」との思いから、大学3年だった2018年に団体を立ち上げた。SDGsを学ぶカードゲームやスマートフォンアプリを制作し、イベントも開催。19年は延べ約1250人の小中高生が参加したという。

関西学院大学はアウトドア用品メーカー、スノーピークと包括連携協定を6月に結んだ。連携の柱の一つに掲げたのがSDGsで、第1弾として学生と企業によるマイボトルの開発をスタート。約40人の学生が開発に参加しており、完成品は2021年度の新入生に配布する予定だ。

「キャンパス内でペットボトル年間消費量の3万本削減」を目標に掲げるが、それ以上に重要なのは環境に対する学生の意識向上だ。連携の担当者は「学生がSDGsを考えるきっかけとし、良いモノを長く使う意識が広がってほしい」と期待を寄せる。

実際に意識の変化も起き始めた。その一つがボトルデザインの決定だ。くびれのあるフラスコ型と円筒型の2種類から選ぶ際、当初は斬新なデザインの前者を支持する学生が多かった。議論を交わすなか「車のカップホルダーに入らない」「洗いにくく使いにくい」との問題点が浮上し、後者に決定した。

いち早く民間企業と組み、SDGsに取り組んできたのが千葉大学だ。京葉銀行との「ecoプロジェクト」を17年に開始。20年3月までに延べ400人以上の学生が関わり、住民や子供、企業向けのイベントなどを実施してきた。SDGsが掲げる17目標のうち、10項目で成果を上げたという。

その一つの「海の豊かさを守ろう」では環境保護に取り組むNPO法人と連携し、海草の生息環境が悪化していた無人島、沖ノ島の再生に挑戦。海草の種子を植える土づくりから取り組み、沖に植え付けた。企画した学生は「一度失われた自然は簡単には取り戻せないことが改めて感じられた」と振り返る。

新型コロナウイルスの影響で大規模なイベントが難しいため、20年度は環境啓発の動画やポスターを作製し、ローカル鉄道の広告や京葉銀の小型ビジョンで流す試みを検討中。地域の農家や農業加工品を紹介するリーフレットを学生が作成し、消費者に地産地消を促す企画も練っている。

SDGsのハブ大学として、18年に日本で初めて国連から認定された長岡技術科学大学。学生主体で国際会議を開催し、SDGsの達成に向けた研究成果を全国の大学や高専が発表する場を設けている。9月にはSDGsの普及・啓発を目的とした学生組織も立ち上がった。留学生を含む13人の学生が集まり、学内で取り組めるアイデアを考えるなど活動が広がっている。

(江口剛氏、前田悠太氏、貴田岡祐子氏)