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英語民間試験の活用見送り 見切り発車で混乱拡大

2020年度に始まる大学入試改革の目玉だった英語の民間試験が、実施まで5カ月の土壇場で見送りとなった。準備してきた高校や大学、試験団体からは反発や戸惑いの声が上がり、混乱は収まりそうにない。制度設計の甘さに目をつぶって見切り発車で導入に突き進んだ文部科学省の責任は重い。
「皆さまとの約束を果たせなくなってしまったことを、大変申し訳なく思います」「試験会場(探し)を団体任せにしていた」。1日の記者会見で、萩生田光一文科相は受験生に謝罪するとともに、民間試験団体に準備を事実上丸投げしていたことへの反省を述べた。
萩生田氏が受験機会の格差に関し「身の丈に合わせて頑張ってほしい」と発言して以降、試験延期を求める声は強まる一方だった。それでも文科省内では「延期したら余計に混乱する。準備してきた受験生もいる」と慎重な意見が多かった。
状況が急転したのは10月31日だ。文科省の設定した公表期限である11月1日を前に、実施団体が試験会場の場所などを開示。ベネッセコーポレーションが全国161地域に会場を置くと発表するなどしたが、全体像は明らかにならなかった。
受験機会の格差の解消が不透明になる中、省内でも20年度の実施を見送らざるを得ないとする雰囲気が強まっていった。
政権の思惑も影響した。菅原一秀前経済産業相、河井克行前法相と閣僚が相次ぎ辞任し、導入を強行すれば安倍政権への批判が強まりかねないという懸念があった。文科省は31日も幹部が首相官邸と調整を続けたが、最終的に見送りとなった。
民間試験を巡っては、受験生の居住地や家庭の経済状況で受験機会に差が出るとの懸念が当初から指摘されていた。目的や内容が異なる複数の民間試験を同じ物差しで比べることにも疑問の声が上がっていた。
文科省は指摘のたびにつぎはぎの対応を重ねた。高校側で「各大学の成績の活用方法が未定で対策ができない」と不満が高まると、活用方法の公表期限を急きょ設定。期限までに公表した大学に限り、民間試験の成績提供システムの利用を認めるといった具合だった。
同省が実施にこだわったのは、民間試験が大学入試改革の残り少ない目玉だったからだ。政府の教育再生実行会議や中央教育審議会が提言した項目のうち、共通試験の年複数回実施や、高校生の基礎学力テストの導入構想は高校側の反対などで後退。「英語民間試験と共通テストでの記述式問題の導入くらいしか残っていない」(同省幹部)状態で、民間試験の見送りは自らのメンツがつぶれることを意味した。
見送りについて、自民党の世耕弘成参院幹事長は1日の記者会見で「文科省の制度設計の詰めの甘さが原因だ」と批判。公明党の斉藤鉄夫幹事長も「不安と混乱を招いた責任は政府と文科省にある。大いに反省してほしい」と話した。
見送りの影響は大きい。既に多くの高校生が民間試験の受験準備を進め、試験の実施団体も会場を借りて機器をそろえている。こうした投資を巡り政府が補償を求められるリスクがある。
国公私立大の6割は民間試験の成績提供システムを利用する予定だった。今後は選抜方法の見直しを迫られる。同省は検討会議を設けて制度を抜本的に見直し、1年後をめどに新たな英語試験の結論を出すというが、受験機会の公平性や成績評価の客観性の問題を短期間でクリアできるのか。議論は難航しそうだ。
「判断が遅すぎる」 英語民間試験見送り、高校生憤り
「判断が遅すぎる」「勉強に余裕ができた」。2020年度の大学入学共通テストでの英語民間試験の活用見送りが発表された1日、大学進学を目指す高校生からは憤りの声が相次ぐ一方、安堵する様子もみられた。合否判定などに利用する予定だった大学の担当者は戸惑いを隠せない。試験の実施団体は「非常に残念」と落胆した。
「これまでの対策が水の泡。やると決めたら徹底してほしかった」。都内の私立高校に通う2年生の男子生徒(17)は憤る。私大文系が志望で1年生のときから民間試験対策をしてきたという。
「大学受験は将来に関わること。もっと早く発表してほしかった」というのは都内の公立高2年の男子生徒(16)。志望校が活用を予定する「英検」を1年前から毎回のように受けており、「せっかく準備したのに振り回された」と不満をあらわにする。
一方、私立高3年の男子生徒(18)は「浪人も視野に入れて勉強できるようになった」と安堵する。生物の研究を志すが、憧れる国立大の模試の判定は厳しめ。7科目の勉強をしており、「ただでさえ時間がない。民間試験の勉強には来年も手が回らなかっただろう」と話す。
男子生徒が通う高校ではこの日、4時間目の授業で進路指導担当の教員が民間試験の活用見送りを説明。「君たちの代には関係ない。落ち着いて勉強に取り組むように」と諭したという。
民間試験の活用を予定していた大学には戸惑いが広がる。東京工業大の担当者は「国の通達に従って進めるしかないが、正式な連絡がない」と言葉少なだ。
民間試験の活用を独自に始めている東京理科大の入試担当者は「直接の影響はない。ただ、国が一括して民間試験の成績を大学に提供するシステムは便利で、利用する前提で準備していたので戸惑っている」と語る。
福井大の北林美津子入試課長は「受験生に迷惑がかかるなら、やむを得ない判断だった」と受け入れる。高校では「読む・聞く・書く・話す」の4技能の育成に力を入れる授業が増えつつあると聞いていただけに「高校の英語教育が後退しなければよいが……」と不安を漏らす。
試験実施団体にも衝撃が広がった。「英検」を運営する日本英語検定協会の担当者は「(受験希望者から受け取った予約金の返還など)今後の対応は文部科学省と協議していきたい。文科省には受験生が戸惑わないような対応を願うばかりだ」と話した。
民間試験の「GTEC」を運営するベネッセコーポレーションは1日、「受験生が安心して受験に臨めるよう準備を進めてきたので、非常に残念」とコメント。「TOEFL」を運営する米ETSは「議論を注視しつつ、生徒の英語力向上に向けて日本が尽力していくことを引き続き支援していく」とした。
別の試験団体の担当者は萩生田光一文科相の会見内容を翻訳し、海外の本部に送付。「いまできることは、これだけ」とため息をついた。

中学受験 親は常に笑顔で

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子に過大な要求「教育虐待」に注意 「習い事ぎっしり」も避けて
教育熱心な親が子どもに学業面で過大に期待したり要求したりする「教育虐待」。近年は中学受験を目指す親子間で起きがちで、昔からいる「教育ママ」とは質が異なるという。中学受験専門のプロ家庭教師、西村則康さんの助言を、日経BPの共働き世帯向け情報サイト「日経DUAL」から紹介する。
「中学受験は親子の受験」といわれ、親のサポートなしでは成り立たない。大学受験に挑む高校生とは異なり、小学生の子どもは自分で受験勉強のスケジュールを立てて、自律的に勉強するのが難しいためだ。
日本には昔から「頑張れば報われる」という根性論が存在する。中学受験においても「たくさん勉強をすれば合格できる」「今我慢して勉強すれば、将来が保証される」と考える親は多く、わが子のためと思って必要以上に勉強させる。ただ、小学生の子どもは体力も気力も大人とは異なる。
中学受験の勉強には難しい抽象概念の理解が必要だ。成熟度の高さが成績に大きく影響するため、頑張っても報われないことがある。ところが親たちは「成績が上がらないのは努力が足りないからだ」と思い込み、さらに頑張らせようとする。中学受験の専門家から見ると教育虐待でしかないが、親には自覚がない。
はじめは子どもも「もっと頑張らなければ」と思うが、親の叱咤(しった)激励が続くと、これ以上頑張れないと感じる。「つらいな」と思いつつ、受験勉強はそういうものだと受け入れてしまう。家庭内で起きるので、親も子もおかしなこととは気づかない。
教育虐待に陥りがちな母親は常に眉間にシワを寄せている。不機嫌な表情で「なんでわからないの?」「わたしはできたのに、どうしてできないの?」と詰め寄ったり、「あなたの努力が足りない」と大量の課題を押しつけたりしても、子どもがのびのび勉強できるはずはない。子育てで失敗したくないという母親のプレッシャーを伝えているだけだ。
インターネットでたくさんの情報が得られる今も、こと子育てに関しては自分の狭い経験を繰り返す例が多い。子どもに厳しく当たる親の多くが、自身の親から厳しく育てられている。
「女子御三家」の難関校を目指し、母親が娘を厳しく指導する家庭があった。話を聞くと志望校は母親の母校で、自身も母(娘の祖母)から厳しく指導を受けたため、たくさん勉強しないと合格できないと思い込んでいた。
長年家庭教師をしていて感じるのは、成績が伸び悩む子の家庭には共通して母親に笑顔がない。わが子のためと思って一生懸命なのは分かるが、愛情のかけ方を間違えている。母親の心が和らぐと途端に子どもの表情も変わり、勉強がうまく進むことが多い。母親がいつも笑顔でいれば、子どもは大好きなお母さんのために頑張ろうという気持ちになる。
近年は子どもにたくさんの習い事をさせる家庭がとても多い。現代は学歴は全てではなく、生きる力が求められる。親世代の子ども時代とは異なるため、手探りするしかない。プログラミングに英語、楽器、スポーツ、算数などを取り入れると1週間の予定は瞬く間に埋まる。
子どもの力をできるだけ伸ばしたいと思って、親がいろんなチャンスを与えるのはよいことだ。ただ、子どもが楽しく感じず、毎日忙しくてしんどいと思っているなら教育虐待だ。
一番の問題は子どもの自由を奪っていることだ。子どもは何もない時間にやりたいことを見つけたり、おもしろいことを考えたりする。大人から言われたことを疑問を抱かずにこなす子は、自分なりに考えたり工夫したりする経験が圧倒的に少ない。
どの学校も入試には塾のテキストの問題ではなく、考えさせる問題を出す。人の指示通りに動く子よりも、自分で考える子に入学してほしいからだ。一方で習い事で予定がいっぱいの子どもは、親に言われるがままに予定をそつなくこなす。この癖がつくと、中学受験の勉強でも言われたことを言われたように解くようになる。
幼い小学生を受験に向き合わせるのは簡単ではない。焦ったり、イライラしたりすることもあるだろう。きついことを言ってしまったときは鏡で自分の顔を見てほしい。「あ、私、ちょっと怖い顔になっている」と思ったら要注意。そこで気付くことが大事だ。
=詳細は日経DUAL(https://dual.nikkei.co.jp)8月27日付で
にしむら・のりやす プロ家庭教師・名門指導会代表、中学受験情報局主任相談員。家庭教師として40年以上難関中学・高校受験を指導し、2500人以上の教え子が関東・関西の難関校に合格した。著書に「御三家・灘中合格率日本一の家庭教師が教える 頭のいい子の育て方」(アスコム)など。
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