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ネットフリックスのアジア会員、2年で2.5倍 動画配信、米はアップルなど競合

ニューヨーク=野村優子】米動画配信大手のネットフリックスは、世界の地域別売上高と有料会員数を初めて開示した。過去2年間でみると、アジアの伸びがそれぞれ2.5倍となったほか、欧州・中東も2倍以上膨らんだ。ウォルト・ディズニーやアップルの参入などで競争が激しい米国市場での伸びは鈍化しているが、海外市場に注力している。
ネットフリックスは米証券取引委員会を通じ、2017年1〜3月期から19年7〜9月期までの地域別の情報を開示した。アジアの売上高は19年7〜9月期に3億8230万ドル、有料会員数は1448万人となり、それぞれ2年前に比べて2.5倍となった。会員数全体に占める比率は9%と小さいが、地域別では最大の伸び率となった。
日本では今夏に山田孝之さんが主演するドラマ「全裸監督」を配信して話題を集めたほか、サンリオのキャラクター「アグレッシブ烈子」をテーマにしたアニメなどオリジナル作品に力を入れている。韓国やインドなどでもオリジナル作品を増やして加入者獲得に力を入れている。
欧州・中東の7〜9月期の売上高は2年前に比べ2.3倍の14億2804万ドル、会員数は2倍の4735万人となった。会員数は世界全体の3割を占めた。南米では売上高が7割、会員数が6割増えた。
一方で、動画配信サービスの競争が激しい米国では、会員数の伸びが4〜6月期に8年ぶりのマイナスに転じるなど成長鈍化が懸念されている。カナダを含む北米の有料会員数は6711万人となり、2年前に比べて18%増にとどまった。
北米の動画配信サービスでは会員の獲得争いが激しくなっている。米アマゾン・ドット・コムの「プライムビデオ」や「Hulu(フールー)」に加えて、ディズニーが11月に「ディズニー+(プラス)」を開始し、初日だけで登録者数が1000万人を突破した。アップルも世界で14億台が稼働するハードの力を生かし、「アップルTV+(プラス)」を11月に開始している。
スマホ決済、利用3倍 来年は動画やヘルスケアが来る!
読み解き 今コレ!アプリ フラーAppApeLab編集長・日影耕造氏
フラー(千葉県柏市)が手がけるアプリ分析ツール「AppApe」で、アプリ配信「グーグルプレイ」でのカテゴリーごとに月間利用者数(MAU)の上位200アプリを調べた。
全てのアプリを対象とした総合上位200アプリでは、11月の合計は4億8900万人と前年同期から35%増えた。月間利用者数が単月で100万以上となったアプリは50増えて124となり、成長産業としての姿をあらためて鮮明にした。
カテゴリー別に見ると、台風の目となったのはキャッシュレス・スマホ決済だ。
ファイナンスは3.2倍の3590万人で、カテゴリー別で最も伸び率が高かった。「PayPay(ペイペイ)」を筆頭にスマホ決済の競争が激化。消費税増税に伴う政府のキャッシュレス還元施策も後押しし、生活インフラとしてのスマホの存在感を一気に高めた。
キャッシュレス・スマホ決済の広がりに伴い、決済の受け皿となるショッピングも85%増と大きく伸長した。既存の「アマゾン」や「メルカリ」「楽天市場」に加え、「PayPayモール」「PayPayフリマ」といったスマホ決済から派生したアプリもユーザー数を伸ばした。
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アマゾンの「プライムビデオ」や民放テレビ各社が共同で手がける「TVer」、「ネットフリックス」などが属するエンタメも50%増の2230万人となった。スマホによる動画の視聴が当たり前となり、多くのメディアやサービスが動画コンテンツの拡充に舵(かじ)を切った。
ソーシャルネットワークは33%増となったが個別のサービスで明暗が分かれた。「フェイスブック」が7.2%増の580万人にとどまったのに対し、女性を中心にユーザーの裾野を広げた「インスタグラム」が54%増の740万人と躍進。インスタグラムは2月、首位だったフェイスブックを追い抜いた。
ゲームは15%増と成長を維持したが、全体の伸び率に比べ振るわなかった。可処分時間の過ごし方がスマホの普及でより多様化していることが大きいと筆者は見る。
変化のスピードが早いスマホアプリ業界で20年の成長エンジンとなるのは、商用サービスが開始予定の次世代通信規格「5G」だろう。
具体的には、高速・大容量通信の恩恵を受けやすい動画やエンタメ、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」によりスマホとの連携が見込めるヘルスケア・フィットネスなどが該当する。いずれも伸びしろが大きく、予想しないような新たなサービスが誕生する余地は大いにある。
20年末にはどんなアプリが世の中に広まっているだろうか。1年後を楽しみにしながらデータを追いかけていきたい。

ディズニー動画、好発進 ネットフリックスに挑む

アップルは「14億台」強み 制作側を囲い込む動きも
米国の動画配信市場をめぐる競争が新たな段階に入った。ウォルト・ディズニーが12日に始めたサービスは初日だけで登録者数1千万人を突破した。アップルも今月から独自の配信サービスを始め、ネットフリックスの「1強」から戦国時代へ突入する。配信プラットフォームを握る企業が増えるなか、コンテンツ制作企業との間の力関係にも変化が見られる。
ディズニーが13日に動画配信サービス「ディズニー+(プラス)」の登録者数を公表すると同社の株価は前日に比べ7%強上昇して過去最高値を更新した。数カ月前からキャンペーンを展開していたとはいえ、「2019年末までに800万人」という市場予想を上回る好調な滑り出しだ。
映画やテレビ事業で培った豊富な作品群が視聴者をひき付ける。ディズニープラスのアプリを開くと「アベンジャーズ/エンドゲーム」や「フローズン(邦題はアナと雪の女王)」「スター・ウォーズ」の派生作品などが現れる。視聴できる映画は500本、ドラマは7500話にのぼる。
1日に「アップルTVプラス」を始めたアップルは世界で14億台が稼働するハードの力を生かす。現状の独自作品は9つと少ないが、「iPhone」などアップルの新製品を購入すると1年間は無料だ。ディズニーが米国など3カ国でサービスを始めたのに対し、TVプラスは100超の国・地域で展開する。米テレビ局が舞台の看板ドラマ「ザ・モーニングショー」は英語だけでなく日本語音声や中国語字幕なども選べる。
毎年2億台ほど売れるiPhoneの新製品などにはアップルのアプリがインストールされ、顧客との接点が多い。アップルは自社制作のコンテンツだけでなく、他社の配信サービスとも連携する。製品の付加価値を高めることが狙いで、アマゾン・ドット・コムが通販サービスの有料会員に提供する「プライムビデオ」とも似た戦略だ。
ただ、アップルにはコンテンツを強化するための資金力も潤沢だ。ネットフリックスのリード・ヘイスティングス最高経営責任者(CEO)は1年前のインタビューで「アップルは脅威」と警戒していた。
ディズニー株が最高値をつけた13日にはネットフリックスの株価は3%下がったが、翌14日には盛り返した。ネットフリックスの強みはユーザーの視聴履歴などから作品を推薦するデータ解析の力や動画を滞りなく配信する技術だ。2007年のサービス開始から世界で約1億6千万人の有料会員を獲得して、地上波の3大ネットワークとケーブルテレビが寡占していたメディア業界に風穴を開けた。
米調査会社アクティベートは1人の消費者が契約する配信サービスは2018年の2.1種類から2023年に4.9種類に増えると予測する。異なる強みを持つ巨人たちが参入することで動画配信の市場は一段と広がりそうだが、プラットフォームが乱立することで、有力なコンテンツをそろえられるかが競争軸になる。
ディズニーのボブ・アイガーCEOは2015年ごろまで「ネットフリックスは映画を買ってくれる友人」と語っていたが、徐々に作品を引き揚げ、自社での囲い込みを進める。来年5月に配信サービス「HBOマックス」を始めるAT&T傘下のワーナーメディアも往年の人気ドラマ「フレンズ」のネットフリックスへの提供を止める。
今夏、映像制作の関係者が集まる会合でピクサーの幹部は「配信の時代には、制作スタジオのリーダーシップはいっそう強まるだろう」と指摘した。映画のCG(コンピューターグラフィックス)を手掛けるクリエーターは「作品を届ける方法は変わるけど、仕事の量と相手が増えるのはチャンスだ」と語る。
ワーナーが「千と千尋の神隠し」や「となりのトトロ」を制作してきたスタジオジブリと米国内での独占配信契約を結ぶなど、業界構造の変化は日本にも波及する。ネットフリックスも日本のアニメスタジオとの連携を進めている。
(シリコンバレー=佐藤浩実氏)