IBMと東大、量子コンピューターで連携 日本に設置へ

米IBMと東京大学は19日、次世代の超高速計算機「量子コンピューター」の研究開発で協力すると発表した。新薬や素材の開発から物流、金融サービスなどの広い分野で革新をもたらすとみられ、世界で開発競争が激しい。
IBMは開発中の機種を日本に設置しハードとソフトの両面から開発を加速するねらいだ。
IBMは2016年から量子コンピューターをクラウド経由で開放し、世界で利用者は20万人にのぼる。提携する機関は90を数え、日本では慶応義塾大学に拠点がある。東大との協力ではクラウド経由ではなく、量子コンピューターの実機を持ち込む。20年に東大本郷キャンパス(東京・文京)と日本アイビーエムに設置する計画だ。
IBMは応用分野の広い「ゲート方式」の量子コンピューターを開発中で、米国とドイツに設置している。日本は3カ国目、アジアで初になる。
量子コンピューターの性能は最近急速に向上し、米グーグルが10月にスーパーコンピューターをしのぐ性能を実証したと発表した。しかし実用化に向けてハードとソフトとも課題は山積している。東大との連携で解決策を探り、人材の教育と育成などにも取り組む。
IBMと東大は産業界や他大学にも連携を広げる計画だ。この分野に力を入れているグーグルや中国のアリババ集団などとの競争で優位に立てるようにする。東大も量子コンピューターに関連する多くの分野の研究を底上げできると期待している。
量子技術で日米欧連携 研究や人材交流、中国に対抗
量子技術の開発で日米欧の連携を確認した(17日、京都市)
日米欧は次世代計算機の量子コンピューターをはじめとする量子技術の開発で連携する。産業競争力や安全保障に大きな影響を及ぼす技術だけに、共同研究や人材交流を通じて実用化を急ぐ。国をあげて開発に取り組む中国に対抗する。
日米欧の政府関係者や大学の研究者らが16〜17日に国際会議(京都市)を開いたのを機に(1)スーパーコンピューターの性能をしのぐ量子コンピューター(2)周囲の状況を超高感度で検知する量子計測(3)重要情報の漏洩などを防ぐ量子通信・暗号――の3分野で連携する方針を確認した。日米政府は近く2国間の覚書も結ぶ。
各国政府が関連予算の拡充などを通じて日米欧の共同研究を支える。公的機関や大学などの人材交流を深め、企業の投資も呼び込む。詳細は今後詰める。
量子技術は「量子力学」と呼ぶ物理法則を使う。極微の世界で起きる特殊な現象を操り、超高速計算など前例のない応用が期待される。開発には物理学や工学など幅広い専門知識が必要だ。先を急ぐ米国であっても、一国で担うのは難しい。
米大統領直轄の科学技術政策局でアシスタント・ディレクターを務めるジェイコブ・テイラー氏は京都市内で日本経済新聞の取材に応じ「どの国も最高の人材、技術、知識を(独占的に)支配はできない」とし、3極の連携に期待を示した。
意識するのは中国だ。オランダの学術情報大手エルゼビアによると、2018年までの10年間に量子技術で最も多くの研究論文を発表したのは中国だった。次世代通信規格「5G」や人工知能(AI)に続き、米国は警戒心を抱く。
中国ではアリババ集団などが量子コンピューターの開発を進め、量子暗号通信の研究でも先行する。中国は、国としても安全保障に絡むとし、早期の実用化に突き進む。20年には、1兆円規模を投じた研究施設が安徽省に完成する見通しだ。
日本は量子コンピューターの基礎研究で優れた実績があり、量子計測や量子暗号通信の技術水準も高い。ただ研究投資の規模などで米中に見劣りし、実用化への取り組みも遅れる。日本の技術を米欧との連携でどう生かすのかは課題だ。

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