洋上風力発電、日本も舞台に 東北電が青森で3000億円 欧州大手も3000億円投資

再生エネ分野で遅れていた日本でも投資が相次ぐ=共同
再生エネルギーの導入が遅れてきた日本で、洋上風力発電の大型プロジェクトが相次ぐ。東北電力は約3000億円で国内最大級の設備を青森県に建てる。北欧石油最大手のエクイノールも約3000億円を投じて日本の洋上風力に参入。洋上風力による発電容量は2030年度にも原発9基分に達する見通しだ。30年に22〜24%に再生エネの比率を高める目標を達成するには送配電網の運用の見直しが急務となる。
東北電力は風力発電を手掛けるグリーンパワーインベストメント(GPI、東京・港)が計画する案件に出資し、共同で青森県つがる市の沖合に出力48万キロワットの大型洋上風力の整備に乗り出す。総事業費は3000億円。運転を終了した女川原発1号機にほぼ相当する規模で、2029年ごろの稼働を目指す。
日本では再生エネの急拡大で送電網の空き容量不足が深刻だ。だが今回の案件はGPIが洋上風力から電気を送電線に送る権利を取得済みで、完成すればすぐに発電できる。東北電は東北や新潟を中心に送電線に接続が問題がない地域で、風力発電を軸に再生エネの発電能力を新たに200万キロワット増やす方針だ。
海外のエネルギー大手も日本市場に参入し始めている。ノルウェーのエクイノールは30年までに出力30万〜50万キロワットの洋上風力を建設する。投資額は2000億〜3000億円とみられる。電力会社や商社などにも出資を募り、北海道や青森などの風況が良い立地を調査している。
洋上風力最大手のオーステッド(デンマーク)も東京電力ホールディングスと共同で千葉県銚子沖で24年度にも出力37万キロワットの風力発電を計画する。日本風力発電協会によると、国内の洋上風力の発電容量は、30年度にも原子力発電所9基分以上に相当する960万キロワットに拡大する見通しだ。
世界ではエネルギー投資の主役が再生エネになりつつある。国際エネルギー機関(IEA)によると、18年の世界のエネルギー関連投資(1兆5880億ドル、約174兆円)のうち、再生エネ分野は3040億ドルと19%を占め、油田・ガス田に次ぐ規模になった。
世界的に企業経営でESG(環境・社会・企業統治)が重視されるようになり、石炭など化石燃料から投融資を引き揚げ再生エネ開発などを支援する投資家が相次ぐようになったことも大きい。
投資の高まりもあり、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、18年の世界の再生エネの発電容量は前年比8%増の約23億5600万キロワットで、発電量は電力全体の4分の1にまで成長した。
そのなかでも注目されているのが、欧州で先行してきた洋上風力だ。投資は18年の190億ドル程度から19〜30年は年平均で610億ドルに拡大するとみられる。
コストが下がったことも大きい。調査会社ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)によると、洋上風力の18年の発電量あたりのコストは発電機の大型化により1年で32%低減。大和証券の西川周作氏は「再生エネは稼げる事業に変わってきた」と話す。
日本では電力全体に占める再生エネの割合を現在の約16%から30年に22〜24%に高める目標を掲げている。ただ第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)では石炭火力発電の廃止など脱炭素に向けた具体策は明示せず、温暖化ガスの削減目標の上積みも見送った。欧州などからは対応の遅れを指摘されており、官民をあげての対策が急務となっている。
■送電網整備が課題
日本では発電所から電気を送る送電線の空き容量不足が深刻になっている。日本経済新聞社の調べでは洋上風力の有望立地が多い北海道や東北など東日本では、送電線の5〜8割で空き容量が足りないことがわかった。
送電線の権利は大型の火力や原子力発電所で権利が埋まっており、未稼働でも今後の再稼働を目指す原発の権利は維持している。洋上風力の計画が本格化するなか、空き容量不足を解決しなければ再生エネ活用が頓挫しかねない。
先行して洋上風力の導入が進む欧州では、海底送電線の新設や増強工事が相次ぐ。英国とベルギーを結ぶ国際海底線の商業利用が始まるなど、電力を融通しやすい環境を整えているため、今後も洋上風力を受け入れる余地が大きい。
一方、日本では海底送電線が整っておらず、空き容量不足のための増強工事も加えると欧州に比べて工事費が多額になる。出力が大きい大型洋上風力を新設する場合には「地域によっては1000億円規模の増強工事が必要」(風力事業者)との声もある。
多額の送電線工事で採算が悪化すれば計画の断念もありうる。東京電力ホールディングスは供給過剰なときは出力抑制に応じることを条件に、増強工事をせずに再生エネを受け入れる取り組みを始めたが、対応はまだわずか。再生エネを主力電源にするには洋上風力が欠かせず、送電線の運用の見直しが急務だ。

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