ローソン、データに活路 KDDIと資本提携発表

ローソンが16日、KDDIと資本業務提携すると発表した。ローソンが導入する共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」の運営会社にKDDIが出資。将来はKDDIが手掛ける自社ポイントとポンタを統合し、顧客データ基盤を底上げする。データを基に会員の嗜好にあうクーポンや情報を配信して来店を促す。コンビニエンスストアの大量出店モデルが限界を迎える中、既存店の収益基盤を底上げし、将来のネットとリアルの協業でも先手を打つ。
KDDIはポンタを運営するロイヤリティマーケティング(東京・渋谷)に約20%、ローソンに約2%出資する。ロイヤリティ社にはローソンも20%出資している。将来はKDDIの自社ポイントとポンタが統合し、ポンタの基盤を強化する。KDDIのスマートフォン決済「auペイ」や電子マネーなどと連携させ、ポンタの会員数は約9300万人から1億人超に膨らむことになる。
ローソンは買い物でたまる共通ポイントでは「ポンタ」とNTTドコモの「dポイント」を導入している。ポンタの会員数が増えることで新たな利用客の流入が期待できる。小売り業態ではコンビニのデータ分析は群を抜くが、年齢などの属性分析や購買履歴などを蓄積する共通ポイントのインフラ基盤が強化されれば、マーケティングを精緻化できる利点もある。
KDDIは独自に電子商取引(EC)サイト「au Wowma!(ワウマ)」も手掛けており、ポンタがワウマで使えるようになれば、将来はローソンと共にネットとリアルの購買データを連係した顧客分析やマーケティングでの協力に発展する可能性もある。コンビニにとっても立地などリアル(実店舗)の接点だけでなく、ネット上での顧客接点は欠かせなくなっており、両社は提携により、ネットとリアルとの相互送客につなげるメリットも考えられる。
コンビニは店舗数増加やドラッグストアなど異業種との競合で、既存店の客数が伸び悩む。これまで収益を支えていた新規出店も人手不足などで限界を迎えており、ローソンの2020年2月期の新規出店から閉鎖店舗数を引いた純増数はゼロを計画する。600〜800店規模だった2〜3年前と比べると大きく下回っている。
ローソンは06年に電子マネーの活用を巡ってドコモからも2%の出資を受け入れており、携帯大手との資本提携は今回が2社目だ。ローソンはdポイントを通じても購買データの分析を進めており、KDDIとの提携後もドコモとの関係は続ける。今回のローソンとKDDIの提携を受けて、実店舗の雄であるコンビニとECの融合がさらに進む可能性もある。(矢尾隆行氏)
ドコモ・KDDI、QR決済で接近 相互利用可能に
電子商取引(EC)や金融など次世代サービスの顧客基盤となる決済分野でNTTドコモとKDDIが接近している。両社はQRコードを使うスマートフォン決済で提携して決済端末を互いに活用し、加盟店開拓でも協力する。携帯電話の新ルール施行や契約者数の頭打ちで通信料収入は伸びないため、両社は非通信分野を稼ぎ頭に育て、先行するソフトバンクに対し追い上げを狙う。
NTTドコモとKDDIは普及が進むQR決済で手を組む。加盟店開拓で連携するメルカリ傘下のメルペイ(東京・港)、LINEペイ(同・品川)、ドコモという3社の枠組みにKDDIが加わり、4社のQRコード端末のいずれかが店にあれば相互に使えるようにする。メルカリ、LINEにとっても個別に開拓するより携帯大手と組めば経費を抑えられる。
「利用可能な店を増やすとともにコード決済の導入負荷を下げる」。KDDIパーソナル事業本部の中井武志副本部長は3社枠組みに参加した理由をこう話す。ドコモウォレットビジネス推進室の田原務室長は「顧客との接点をあらゆる面で拡大させる」と歓迎する。
KDDIの前身企業には1985年のNTTの民営化時に競争相手として登場したDDIと、53年に旧電電公社から分離されたKDDがある。通信分野ではライバル関係だが、両社は「協調できる分野は組んでいく」(関係者)と決めた。
その背景には、急速にスマホ決済で存在感を増すライバル、ソフトバンクへの危機感がある。
同社とヤフーの共同出資会社ペイペイ(東京・千代田)は、18年末に「総額100億円還元」をうたう大型キャンペーンなどで認知度を高めた。利用者は開始1年となる10月に1500万人を突破し、ドコモの「d払い」(1000万人超)やKDDIの「auペイ」(600万人超)を引き離す。
決済基盤は携帯大手3社が強化するECや金融などの土台になる。ソフトバンクはヤフーを子会社にし、17日には新たなネットECモール「ペイペイモール」を開設したと発表した。出店料が無料の「ヤフーショッピング」を展開しているが、それより出店基準を厳しくし、ペイペイと連携して新たな顧客を狙う。
第1弾として年内に家電のダイソン、菓子のロイズコンフェクト(札幌市)など600店が出る。実店舗や月4千万人の会員が使うヤフーのビッグデータを分析して顧客への商品の推薦(レコメンド)機能を高め、競争力を高める。宮内謙社長は「他社にはまねできない未来を創る」と話す。
ソフトバンクはこのほか、グループ内に「ZOZOタウン」「ロハコ」というECモールも抱えている。ライバルのドコモやKDDIに比べて、この分野では圧倒的に先行している。
KDDIもEC事業に注力し始めている。4月には楽天と連携し、KDDIの「Wowma!(ワウマ)」で、出店事業者の商品の保管から出庫まで一括で担う「楽天市場」の物流網が使えるようになった。両サイトに出店する事業者を対象に始め、いずれはワウマだけに出店する事業者にも広げる計画だ。同社はカブドットコム証券に出資するなど、金融サービスも強化している。
携帯電話の総契約数は日本の人口を超えて頭打ちだ。10月に施行した改正電気通信事業法で2年契約の途中解約にかかる違約金は1000円以下となり、顧客流出のリスクも高まった。
環境が厳しくなる中、携帯各社は非通信事業の分野で提携の動きを進めている。米通信大手がメディア事業に参入し業界再編のきっかけとなる例もあり、携帯各社の業容の広がりは他分野の再編を促す可能性もある。
非通信のサービスを通信事業の顧客つなぎ留めに利用する動きも出ている。ドコモは3月から動画サービスでディズニーとの提携を拡大した。
各社は非通信事業を成長分野と位置付けている。ドコモは19年3月期の営業利益が全体の1割強の1473億円だが、これを早期に2千億円まで拡大する計画だ。
KDDIは22年3月期まで非通信分野の「ライフデザイン領域」の売上高を1兆5千億円と19年3月期に比べ1.5倍に増やす。連結売上高で非通信分野が推計2割のソフトバンクも拡大に意欲を示す。
政府は10月の携帯新ルール施行による値下げが不十分だと見て、今後も値下げ圧力を続ける。通信に依存する収益モデルの転換は待ったなしだ。
(新井重徳氏、駿河翼氏)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です