大阪女児誘拐 逮捕一週間 SNS被害 子供どう守る

小学生でもスマホ3割超 SNS被害防ぐヒント
大阪市住吉区の小学6年の女児(12)が誘拐され栃木県内で保護された事件は、SNS(交流サイト)を通じて見知らぬ人と接点を広げるリスクを浮かび上がらせた。教育現場は保護者らに注意を促すが、小学生(高学年)の3割超はスマートフォンを持つ。容疑者逮捕から30日で1週間。「使わせない」選択肢は実態にそぐわない面もあり、専門家は「家庭でのルール作りなどを徹底すべきだ」と指摘する。(小安司馬氏、玉岡宏隆氏)
「うちに来ない?」。未成年者誘拐と監禁容疑で送検された伊藤仁士容疑者(35)は、他人が見られないツイッターの「ダイレクトメッセージ」で女児を誘い出したとされる。女児の母親によると、対話アプリの履歴などを月に2〜3回確認していたが、11月上旬に見た際も不審なやり取りは確認できなかった。母親は「うちの子は大丈夫と過信した」と振り返る。
女児が保護された同県小山市の教育委員会は24日付で、SNSなどを通じて犯罪に巻き込まれないよう、児童・生徒への指導の徹底や保護者への協力呼びかけなどを公立小中学校などに指示した。以前から、長期休暇の前などに他人からの誘い出しや付きまといなど具体的な事例を挙げて注意喚起しているが、担当者は「事件はいつ起こるか分からない。気を引き締めて対応する」と話す。
内閣府の2018年度の調査によると、専用のスマホを持っている割合は小学生(4年生以上)で35.9%、中学生は78.0%に上る。SNSがきっかけでトラブルに巻き込まれるケースが後を絶たない一方で、地震など災害時の情報収集や連絡手段としての役割を重視し、子どもに与える保護者も多いとみられる。
18年6月に大阪府北部で起きた震度6弱の地震を受け、府教育庁は19年度から「防犯・防災」を目的に公立小中学校へのスマホや携帯電話の持ち込みを認めた。今回の事件を受け、SNSの危険性や相談窓口などを明記した文書を作成し、28日に各市町村の教育委と府立学校に通知。各学校が生徒に配ったり掲示したりする予定で、担当者は「正しい使い方をしっかりと周知しつつ、安全確認のツールとして活用してもらう」と説明する。
スマホを安全・安心に使ってもらうには、利用者である子どもや保護者との最初の接点となる通信事業者の協力も欠かせない。高市早苗総務相は25日付で、電気通信事業者協会(東京・千代田)など通信関連の4団体に対し、啓発活動などの対策を要請した。
同協会はこれまでも、販売各社に対して店頭に訪れた保護者らにSNSの危険性を伝えたり、フィルタリング機能の導入を勧めたりするよう求めてきた。各社も学校で出前講座を開くなどしているといい、同協会の担当者は「要請も踏まえ、保護者らに適切な利用方法を丁寧に説明し、子どもの情報リテラシーを高めたい」としている。
兵庫県立大の竹内和雄准教授(生徒指導論)は「SNSで悪意のある人物との交流の芽を完全に断ち切るのは難しい。親子でやり取りした相手を共有するなど、家庭で使い方に関するルールを決めるべきだ」と指摘。その上で「教師やカウンセラーなど、トラブルがあった際に信頼できる相談相手が周りにいる環境整備や、アプリに年齢制限機能を付けるなど、社会全体が危機感を持って同様の事件を繰り返させないための対策を議論すべきだ」と話している。

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