地銀、不良債権処理費2倍 中小の経営悪化で

4〜9月、7割が減益・赤字
地方銀行の苦境が続いている。上場する78の地銀・グループの2019年4〜9月期連結決算について、18年に巨額の赤字だったスルガ銀行を除いてみると、不良債権の処理費用が前年同期の2倍以上になった。リーマン・ショック後に支援を続けた中小企業の経営難が響いた。7割にあたる56行が最終減益か赤字で、事業の改革を進める必要性が高まっている。
投資用不動産向け融資で不祥事があったスルガ銀は18年4〜9月期に巨額の赤字に陥った。78の地銀・グループは同行を除いた数字で19年4〜9月期を見ると、経営が厳しさを増していることが分かる。
19年4〜9月期の連結最終損益の合計額は前年同期比16%増の5515億円。スルガ銀を除くと5355億円で7%の減益だ。「全体として収益的に厳しい環境を反映している」。常陽銀行の笹島律夫頭取(全国地方銀行協会会長)は今回の決算についてこう語る。
収益を押し下げる要因となったのが「与信費用」の増加だ。融資先の業績悪化による将来の貸し倒れに備えて積む引当金や、不良債権として損失処理する費用などを含む。スルガ銀を除いたベースでみると、4〜9月期の与信費用は計1077億円で2.2倍に膨らんだ。
背景にはリーマン・ショック後にできた中小企業金融円滑化法に基づき、返済猶予などで支援した企業の経営難が顕在化してきたことがある。
西日本フィナンシャルホールディングスは前年同期は融資先の業績回復などで引当金からの「戻り益」があったが、4〜9月期は一転して32億円の与信費用を計上した。谷川浩道社長は「債務者に対して利払い猶予などの対応をしてきたが、思ったように進捗せず息切れしてきた」と語る。
帝国データバンクによると、同法にもとづき返済猶予を受けた後、再建できずに倒産した企業の件数は18年度は480件で3年連続で増加。19年4〜9月の累計でも255件と前年度を上回るペースで倒産が相次いでいる。担当者は「後継者などが確保できずに事業継続を断念するケースが出ている」と指摘する。
本業で稼ぐ力は低迷したままだ。貸し出しで稼いだ資金利益は1兆7366億円で4%減った。日銀によると地銀の新規の長期貸出金利は8月時点で1%を下回る。顧客の獲得競争は激しく、「貸出金利が下げ止まらない」(三重銀行の渡辺三憲頭取)。
債券や株式など有価証券の運用は持ち直し、4〜9月期の含み益は3月末より8%増えた。米金利の低下(債券価格は上昇)で米国債の含み益が出たとみられる。
78行は今回の決算から、自ら保有する投資信託の解約益を除いた利益を開示した。約9割の地銀は解約益で本業の「コア業務純益」を補完していた。低金利の市場環境は国内外で長引いており、今後の運用による収益は細る可能性がある。
島根銀行、みちのく銀行、東日本銀行の3行は最終赤字。島根銀は9月、異業種であるSBIホールディングスから出資を受ける方針を発表。みちのく銀はライバルの青森銀行と包括業務提携に向けて検討を始めた。コンコルディア・フィナンシャルグループの東日本銀には、グループ中核の横浜銀行が新頭取を派遣し経営立て直しをめざす。
20年3月期の連結純利益は前期比0.3%減の8575億円の見込み。期初の増益予想から一転して、4期連続の減益となる見通しだ。

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