日米欧の自動車大手、7万人削減 リーマン時に迫る

米ゼネラル・モーターズ(GM)など日米欧の自動車大手が人員削減を始めた。削減策の合計人数は7万人超となり、リーマン・ショック直後の10万人超に迫る。景気の減速感などによる新車販売台数の減少に加え、電動自動車(EV)など次世代車に転じていく構造変革に動きつつある。部品メーカーなど裾野が広い自動車業界の人員削減は雇用環境の改善に影を落とす。
GMは米国内の3工場を閉鎖する。世界で7工場の閉鎖と1万4千人の削減を進めている。米フォード・モーターも工場の作業員を1万2千人削減することを発表し、日産自動車は生産部門で1万2500人の削減策を公表した。
日米欧の主要メーカーの従業員数は2009年以降、増加を続けて約240万人になったが、18年は微減に転じた。削減する7万人超は今回、人員削減をする企業の従業員数の約4%にあたる。
削減策をとる背景には足元の新車販売の変調がある。18年の世界の新車販売台数は、前年比0.5%減の9581万台だった。日米欧の先進国では新車販売台数が頭打ちで、19年は米国では前年を3%下回り、欧州も1%減とみられる。中国やインドでの販売台数も5%超の減少になり、18年を下回る見通しだ。
金融危機の影響で09年に新車販売台数が前年を下回った際は、自動車各社は「新興国の市場は拡大する」との見方を崩さなかった。実際、危機後に相次いで新興国への投資をし、車の世界生産台数は10〜17年まで増え続けた。
だが18年は生産台数も前年比1.1%減の9563万台と、09年以来の減少に転じた。伊藤忠総研の深尾三四郎主任研究員は「従来の大量生産モデルが限界を迎え、今回は生産能力の削減を前提にリストラへ動く企業が増えた」と話す。
新車と既存車を合わせた車の総台数は16年に13億台と、過去10年で5割増えた。PwCは車の総台数は30年に17億台弱、50年には20億台になり飽和すると予測する。
EVなど次世代車への転換も、生産体制の構造改革に拍車をかける。内燃機関のないEVは部品点数がガソリン車より3割少なく、内燃機関を持つ車の組み立てもより少人数で済む。
30年に世界販売の40%をEVにする目標を掲げる独フォルクスワーゲン(VW)は、独国内の工場でEV生産を始めるのに伴い、23年までに7千〜8千人を削減する。フォードも19年6月には欧州で内燃機や変速機などガソリン車関連の5工場の閉鎖を決めた。
厳しさを増す環境規制や次世代技術への投資を捻出する必要もある。独ダイムラーでは電動化に対応する費用が、同社の利益率を毎年1%押し下げるという。
GMのメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は「顧客の嗜好の変化に対応した生産能力を確保する」とし、リストラの一方で傘下の自動運転の開発会社には11億ドル以上を追加出資した。日産も効率化で3千億円の固定費を減らしながら、開発費は1割増やす。
米アリックスパートナーズは、自動車業界は23年までの5年間で電動化に2250億ドル、自動運転へ500億ドルの投資を迫られると試算する。
しかも投資のかさむEVが利益を生み出すとは限らない。仏ルノーなどは20年前半にも最低価格が100万円台と現在のおよそ3分の1という廉価版を投入する計画だ。普及を優先させるためにはコストの回収を先送りせざるを得ない。自動車業界は試練の時を迎えている。

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