鹿児島の障害者工房 アート界が注目

自然に包まれ 強い個性触れる
鹿児島中央駅からバスで40分ほどの住宅街のなかに、アート界で注目されている施設がある。しょうぶ学園という知的障害者の支援施設だ。障害の有無にかかわらず誰にでも開かれた学園として運営されており、園内の工房で作られる工芸作品やレストランを目当てに、年間約1万人もの観光客らが訪れている。
「こんにちは」。最寄りのバス停から歩くこと数分。園内の雑木林のような小道で施設利用者とすれ違う。山道でハイカーと会った時のようなあいさつを交わすうちに、初めて訪れたとは思えない不思議な懐かしさを覚える。
しょうぶ学園は社会福祉法人の太陽会(鹿児島市)が1973年に設立した支援施設。現在は約40人の利用者が職員と暮らしている。防犯カメラが入り口に設置されているほかは、門もなく誰でも利用が可能だ。観光客に加え、休日には近所の子どもたちが駆け回る。
同園の小野好美さんは「社会に受け入れてもらうのではなく、学園の中に社会が入ってきてくれるような仕掛けを作ってきた」と話す。
人気が高いのが、緑に囲まれた広場に設けられたツリーハウスだ。美しい庭や遠くの山並みが一望でき、都会にはないゆったりとした時間が味わえる。
園内には生パスタが絶品だと評判のレストランもある。レストランで注文した食事も木の上で楽しめるとあって、毎年夏には人気の観光地だ。石臼でひいたそば粉を使う手打ちそばや同じく石臼でひいた粉を使う香ばしいパンも味わえる。広場には利用者が世話をするロバと羊が草を飼育されており、子ども連れにも親しみやすい。
ショップで販売されている施設利用者によるアート作品も一見の価値がある。園内には木工や陶芸、絵画など4つの工房があり、施設の利用者が日々制作にいそしむ。鮮やかな色彩で塗られたポストカードや、色も形もどこか神秘的な皿や植木鉢などの陶器からは強い個性とエネルギーがあふれる。作り手の美への並々ならぬ情熱に心を動かされる人も多いようだ。
工房では以前、規格の決まった工芸品の制作を目指していたという。あるとき、作り手に自由に制作を任せてみたところ、多彩な作品を生み出せるようになったという。作品目当ての客も多く、全国のセレクトショップから注文が途絶えない。
障害の有無に関係なく人がアートや自然を通してふれ合う、ゆったりとした休日はどうだろうか。
(西部支社 荒木望氏)
▽アクセス JR鹿児島中央駅

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