スマホが使えない!大型台風 通信障害は防げるか

日本列島を直撃した台風15、19号による停電などで、携帯電話大手の携帯電話やスマートフォンも、広い地域で使えなくなった。もはや大型台風の上陸は「想定外」の事態とはいえなくなっている。医療や自動運転での利用も想定され、ネットワークのインフラとしての重みが一段と増す次世代通信規格「5G」時代を目前に控え、有効な手を打てるのか。
■停電から1日以上持つ基地局、1%強
台風19号は関東から東北地域に甚大な被害をもたらし80人を超える死者を出した。総務省によるとNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社合計で2000局超の基地局が停止。1と14県にまたがる市町村で携帯電話が使えなくなった。最大の要因は、基地局が役割を果たすために必要な電力会社の商用電源の停止だ。
国は携帯会社に対し、基地局に予備電源を確保するよう義務付けている。これに対応して携帯大手は自治体の庁舎などの重要拠点の基地局に自家発電装置を設置。原則として基地局すべてに蓄電池を置いている。
ただ蓄電池の容量に明確な決まりがないのが落とし穴。携帯大手3社はそれぞれ10万〜20万の基地局を抱えているが、数時間で切れる蓄電池が多い。24時間以上持つ蓄電池を備えた基地DIの場合、15万局超のうち2000局程度で、全体の1%強にとどまる。台風19号後の停電がおおむね復旧するまでに1週間程度かかったことを考えると、心もとない。
携帯会社も何も手を打っていないわけではないが、そこにも落とし穴がある。
NTTドコモは東日本大震災の教訓から、広い地域で壊滅的な被害を受けたときのための「大ゾーン基地局」を全国100カ所以上に配備している。通常の基地局のカバー範囲は広くて半径2キロメートル程度だが半径7キロメートルをカバーできる。2018年9月の北海道胆振東部地震に伴う停電の際に釧路市で初めて力を発揮した。
ただ今回の台風15、19号のように、つながる基地局がまだらに残っている場合、大ゾーン基地局の電波と干渉して、かえっくなるケースもあるという。あらゆる災害に有効というわけではない。
■足りない耐風力
基地局の耐風力も問題だ。国が設けた電力会社の送電線などの耐風基準は最大瞬間風速40メートル。携帯会社の基地局も、同程度の強風に耐えられる設計となっているが、台風15号では最大瞬間風速約60メートルの強風が吹き荒れ、基地局や電柱の倒壊が相次いだ。ある携帯大手幹部は「前提を見直さなければならない」と話す。
政府も10月初めに台風15号の被害に関する検証チームを立ち上げた。基地局の蓄電池の容量について「停電後に24時間稼働できる容量」といった明確な基準をつくる検討を進めるほか、電力会社と携帯各社との情報連携のあり方などを議論し、年内に取りまとめる方向だ。
ただ長時間持つ蓄電池を備え付けようとすると、お金もかかるし、場所も取る。携帯電話料金の引き下げを求められている中での自然災害の深刻化は、ある意味「泣きっ面に蜂」の状況ともいえる。
災害時の携帯会社の連携も進んでいない。東日本大震災後に、災害時に限って回線を相互乗り入れして携帯会社を問わず通信できるようにすべきだとの議論が起こった。だがNTTドコモが、生き残った携帯会社の回線に通信が集中し、処理しきれずにパンクする懸念を示し、実現しなかった。ソフトバンクの宮川潤一副社長は「有事の際には携帯会社同士が支えあい、一つのネットワークが遮断されても、つながるようにすべきだ」と改めて議論する必要性を指摘する。
来春には「5G」の商用化が始まる。かつての「想定外」が当たり前となりつつある災害大国日本。通信障害の落とし穴をふさぐ道のりは険しい。
(堀越功氏)

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