クリエイティブサポートレッツ理事長 久保田翠さん 知的障害 あるがままに(1)

 2020年東京パラリンピックを機に、障害の有無にかかわらず認め合う「共生社会」がもてはやされている。だが重度の知的障害のある人たちへの偏見は根強い。NPO法人、クリエイティブサポートレッツ(浜松市)理事長の久保田翠さん(57)は彼らが自由に自分を表し、生活できる場をつくろうとしている。目指すのは、どんな障害もありのままに受け入れる社会だ。
2018年10月、浜松市の中心市街地に「たけし文化センター」という障害福祉施設を造りました。そこでは約30人の知的障害者が毎日を過ごしています。
ある人は階段をゆっくり上り下りし続けます。ある人は粘着テープをものに貼り付けてははがすことを繰り返しています。またある人は地面をたたいたり奇声を発したりしています。
こうした行為を、世間では「問題行動」とみなしてやめさせようとするでしょう。でもたけし文化センターでは、それらをすべて受け入れます。スタッフは和気あいあいと障害者に接し、彼らのユニークな言動に新鮮なまなざしを注いでいます。「なんか変わったことしてるぞ」と聞きつけた研究者やアーティストも訪れます。
世間で障害福祉施設はまだ迷惑施設と思われていますが、ここには一般の人が宿泊できるゲストハウスや、居住できるシェアハウスもあり、障害の有無にかかわらず共存できる空間を目指しています。「障害や問題行動をそのまま肯定する」というのが私たちの活動理念です。
  建築事務所でデザイナーをしていた久保田さんが、現在の活動を始めるきっかけは、1996年に重度の知的障害のある息子、壮(たけし)さんを生んだことだった。
私は出産後も、デザイン関係の仕事を続けたいと思っていました。壮が幼い頃は社会福祉法人の保育園に通わせていましたが、卒園後は学童保育に預けようと役所に相談に行きました。
すると「それは無理」と一蹴されました。障害児の面倒は母親がみるのが当たり前だというのです。母親が働き続けたければ親族がかわりにみる。それも無理なら、遠くにある福祉施設に隔離するしかありません。
ほとんどの福祉施設は壮のような重い知的障害のある子どもの問題行動をやめさせ、矯正しようとします。世の中の仕組みにのっとってお金を稼ぎ、社会に貢献できるよう訓練します。
しかし、そんなことできっこありません。自分の意思を表現することすら困難なのですから。むしろ問題行動のなかに、その人の物事へのこだわり、やりたいことをやりきる熱意があります。それは「表現」とも言いがたいものですが、誰もが持つ自分自身を表す力であり、行為だと思います。
同じような障害児を持つお母さんたちと「自分たちで居場所をつくろう」と2000年に立ち上げたのがクリエイティブサポートレッツです。悩みながら全力で突っ走ってきました。
(安芸悟氏が担当します)

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