子どもの死亡を全件検証 厚労省、虐待・事故防止に

厚生労働省は18歳未満の子どもの死亡事案の背景について、全件検証する取り組みを始める。都道府県に医療、警察、福祉などの専門家からなる委員会を設置し、多角的に問題を分析する。刑事事件に発展しない事案も含めて検証し、虐待や事故の発生防止に生かす狙いだ。2020年度から全国5地域でモデル事業を始め、順次ほかの地域に展開していく。
子どもの死亡の全件検証は「チャイルドデスレビュー」と呼ばれ、虐待対策として米国で1978年に始まった。英国でも同種の取り組みがされている。
日本でも2018年12月に成立した成育基本法で導入を進める方針が盛り込まれたことを受け、厚労省は2020年度の概算要求に5900万円を計上した。検証を担当する専門家への報酬や自治体の体制整備に充てる。
まず各都道府県の児童福祉や衛生部門に子どもの死亡についての情報収集担当者を配置する。各地域の医療機関に、18歳未満の死者が出た際には自治体への通報と、死因や既往症の報告をするよう求める。
自治体は第三者の立場にある小児科医や精神科医、検視官、救急隊員、保健師などからなる検証委員会を設置する。死亡した子どもに関する情報を持つ教育機関、児童相談所、警察などから養育環境や通学状況などの報告を求め、内容を精査する。委員会は再発防止策を提言するほか、必要に応じて関係機関に調査を依頼する。
厚労省の人口動態調査によると、2017年の18歳未満の死者は3800人。うち11%は詳しい死因が特定できていない。また21%は事故や自殺・他殺など「外因死」で、社会的な対策の検討が重要とされる。いずれも18歳以上に比べ、割合が大幅に大きい。
厚労省によると、死亡するなどした子どもの担当医が虐待を見落としている懸念がある。たんの吸引などが日常的に必要な「医療的ケア児」の保育ミスや子どもの自転車の単独転倒事故など、刑事事件に発展しない死亡事案では詳細な検証がされない傾向にある。
同省の担当者は「細大漏らさず検証をして、細かな対策を積み上げていくことが重要だ」としている。

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