瀬戸内の無人島でプラごみ拾う 岩田功次さん

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「1メートル四方に700本。瀬戸内海で盛んなカキ養殖のパイプが漂着している」。一般社団法人「E・Cオーシャンズ」(愛媛県八幡浜市)で代表理事を務める岩田功次氏(58)は浜辺を見つめ語気を強める。海洋プラスチックごみによる環境汚染が世界中で注目を集めている。岩田氏は2016年から、愛媛近海の無人島や陸路では行けない浜辺など、秘境に漂着したプラごみの清掃活動をけん引する。
パイプのほかにも漁業ブイ、空の食品容器にペットボトル……。愛媛県伊方町の佐田岬半島のある浜には、幅100メートル以上にわたって漂着したプラごみが散乱する。地面を踏みしめるとクッション性があり、地下1〜2メートルまでの堆積が想像できる。「夏場は台風などで山口県側に流れるから、これでも随分きれいだよ」と岩田は苦笑する。
活動を始めたきっかけは2016年、佐田岬で人が寄りつかない浜辺に、大量のプラごみが漂着していることを知人に教えられた。岩田自身、20代から清掃活動への参加など環境保全に取り組んできたが、海洋プラごみの実態は知らなかった。
船舶免許を有しており独自に船を使って周辺を調査すると至るところで汚染が見つかった。瀬戸内海の入り組んだ地形から、外洋に流出せず滞留していることがわかった。「海水浴場のごみは目立つから拾う人がいる。無人島のプラごみは誰も気付かない」。微細なマイクロプラスチックとなって生態系や人体へ影響するのを防ぐため、あえて一般の人が行けない秘境を活動の中心に据えた。
時に岩礁が隠れた危険な水域に船で接近しボートで上陸する。プラごみの堆積した足場は不安定で転倒の危険と隣り合わせ。ブイはマムシの格好のすみかで注意が必要だ。岩田は参加者に対して時給1450円を支給する。「仕事を休んで継続参加してもらうには必要なこと」と説明する。
「自分の体が動くのはあと10年」と話す岩田が目指すのは、後進が活動に専念しながら生活していけるような仕組みづくりだ。現在は活動資金をトヨタ自動車など企業や自治体からの助成金と、本業のデザイン業での収入に頼っている。
個人と法人合わせて20人強の会員数を、全国で1000人規模にまで増やせれば、2000万円以上の年会費が見込めて雇用ができる。各地での講演など啓発活動にも注力する方針だ。
法人化から1年で延べ約270人が清掃に参加し、2トントラック約40台分を回収した。その中で海外からとみられるごみは1%にも満たず、ほとんどは国内で投棄されたものだという。
「みんな知らない、誰も行かない、気付かない。生物は黙って死んでいくだけ。そんな環境を変えたい」と、きょうもまたごみを拾う。=敬称略
(棗田将吾)

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