ハワイやパラオ、日焼け止め規制じわり 「サンゴに有害」

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【シドニー=松本史】世界のビーチリゾートで、主要な日焼け止めの販売や使用を規制する動きが広がっている。日焼け止めのクリームやローションに使われることの多い化学物質がサンゴ礁の成長に有害との指摘が出ているためだ。米ハワイ州は2021年から、太平洋の島国パラオは20年から制限する。日本人を含む世界の観光客に影響を及ぼすが、科学的な根拠が不十分だとの声もある。
日本から年間100万人超の観光客が訪れるハワイ州では21年1月から、化学物質「オキシベンゾン」「オクチノキサート」を含む日焼け止めの販売や流通が禁止される。英BBCなどによると、これらの化学物質は大手メーカーが市販する日焼け止め3500種以上に含まれており、影響は大きい。同州のイゲ知事は「ハワイのサンゴ礁を守る第一歩だ」と意義を強調した。フロリダ州キーウェストも21年から同様の措置を導入する。
太平洋の島国パラオは20年からより厳しい規制を敷く方針だ。「サンゴ礁に有害」と定めた10種類の物質を含む日焼け止めの販売に加え、持ち込みも禁止する。販売した場合には最高で1千ドル(約10万6千円)の罰金を科し、持ち込まれた製品は没収する。
メキシコでは法規制はないが、リビエラマヤやシェルハ海洋公園など複数の観光地で市販の日焼け止めを使用しないよう観光客に呼びかけている。
各地で規制が広がるきっかけとなったのは15年発表の研究論文だ。米ハエレティクス環境研究所のクレイグ・ダウンズ博士らは、年間6千〜1万4千トンの日焼け止めがサンゴ礁の生息する海域に流れ込み、オキシベンゾンがサンゴの成長に悪影響を与えていると分析した。
ただ研究結果に疑問の声もある。世界最大のサンゴ礁として知られる豪グレートバリアリーフの海洋公園管理局は「ほぼ全ての実験が屋内の研究所でサンゴの僅かな破片や細胞を使っており、日焼け止めがサンゴに悪影響を与えるという証拠は限定的」として、日焼け止めを制限しない。
化粧品会社の間でも、世界最大手の仏ロレアルが2月、自社のサイトに「化粧品の紫外線吸収剤はサンゴに影響を与えるのか?」と題した文章を投稿した。モナコ科学センターとの共同研究で「ロレアルの日焼け止めに含まれる主な紫外線吸収剤をテストした結果、サンゴ礁に有害な影響はなかった」と強調した。
日本の大手化粧品メーカーが販売する日焼け止めの一部にもオキシベンゾンなどは配合されている。サンゴ礁への影響については資生堂は「国内外の研究機関で評価中で結論は出ていない。必要と判断した場合には、代替物質に切り替える」とし、花王は「規制地域での販売には必要な対応を行う」としている。
米調査会社トランスペアレンシー・マーケット・リサーチによると15年に148億ドルだった日焼け止め市場は24年に68%増の249億ドルまで拡大する見通しだ。皮膚がんとの因果関係など紫外線のリスクへの認識が高まったことで、北米を中心に市場が拡大している。
オーストラリアのがん予防・啓発団体「キャンサー・カウンシル」のヘザー・ウオーカー皮膚がん対策委員長は海洋生物への悪影響は明確でないとし、「日焼け止めががんにつながる紫外線のダメージを防ぐという点には、確固たる証拠がある」と指摘する。各国・地域の日焼け止めへの規制は代替品市場を生み出す可能性も秘めるが、しばらくは賛否両論の議論が続きそうだ。

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